• FOLLOW US!
  • ツイッター

Event

「デザインのチカラ」の情報や、イベントのお知らせなどは、
こちらのページをチェック!

IMG_7037

大島裕明先生インタビュー!——————
マルチアスペクトに取り組める場所として。

「デザインのチカラ」プロジェクトの立ち上げメンバーであり、テクニカルディレクターも担当していただいた、情報学研究科特定准教授の大島裕明先生にインタビューを敢行しました!このプロジェクト全体を振り返りつつ、実験の領域において、どのような感想を抱いているのでしょうか?モデレータの越前屋俵太さんを聞き手に迎え、このプロジェクトの意義やこれからの展開までを含めて、語っていただきました。

 

 

ワークショップとして、つま先2つ分ぐらいは出た。

———大島先生には先日、「カラスごみ問題」を実験する現場に立ち会っていただきましたが、まずはその感想からお願いできますか?

 

大島裕明(以下、大島にて表記)
結果的には残念としか言いようがありません。しかし、成果としては、少なくとも実験を行なったことはすばらしいと思います。多くのワークショップが、アイデアだけを出して、実装されないまま終わってしまうのが大半。そのなかで、ちゃんと形にして、どうなるか試したわけですから。 

 

———それは、学問の世界において、大きな一歩と言えますか?
 

大島
<学問>ではなくて、<ワークショップ>の世界ですが、そういう意味で言うと、つま先2つ分ぐらいは出たと思います(笑)。

IMG_7012 

 

正確な実験を行うために必要なこと。

———都合上、いくつかのアイデアを同時に実験しましたが、あれは方法としてはどうだったんでしょう?一応、カラスが来なかったわけですから、どれかの装置を嫌がって、カラスが来なかったという仮説は立てられますか?

 
大島
科学的手法というのは、最初に仮説を立てます。それを検証するための方法を考えて、実際にやってみて、こういう結果が出たと。その結果が、仮説を実証してくれるといった感じのプロセスを経ます。そういう意味でいうと、今回の実験は仮説を検証するためにやらなければいけない条件が十分ではありませんでした。本来であれば、まったく同じ条件でひとつずつしないといけません。

 

———ということは、アイデアを一つずつ試すわけですね?

 
大島
いや、それだけではダメなんです。厳密に言うと、ごみ袋に近づいてきたカラスは経験値が一羽ずつちがうはずです。それによって、装置を避けるか否かを判断する可能性があります。だから、何羽かカラスを飼育して、そこからランダムに取り出して、同じ環境で何度か実験をやらないといけない。

 

———なるほど。そういう意味で言うと先日、実験をしたビルの屋上はもともとごみが散乱しているわけではなかったから、経験値の高いカラスが警戒して近づいて来なかったのかもしれません。一応、実験の翌日もしたのですが、もう少し継続して実験をしていたらカラスが来ていたんでしょうね。
 

大島
一週間ぐらい続けたら来たかもしれない(笑)。

 

———勘弁してくださいよ(笑)。
 IMG_0556

 

多様な考えが生まれる場を提供できた。

———この「デザインのチカラ」は、ここで区切りをつけるわけですが、プロジェクト全体を振り返ってみると、どういう成果があったと思われますか?

 
大島
やはり、社会の実問題に取り組むことで、これに対していろいろな立場の人が、いろいろなアプローチで、いろいろな考えをすることがわかりました。そういう場所を提供できたことは、デザイン学が主催するこのプロジェクトの成果だと思います。

 

———デザイン学が発展する入り口に立てたと?

 
大島
そうですね。ただ、それぞれの専門分野の人たちのアイデアがコラボレーションするところまで展開すればよかったのですが……。そこが、いちばん大事な部分かもしれません。

 

———たしかに、コラボができなかったことは残念ですが、一歩は踏み出せたわけですもんね。
 IMG_7003

 

カラスごみ問題の行方

———社会実装を担当していたから言うのですが、実験をやるにしても、人を集めるにしても、すごく大変だったんですね。だから、ネット社会というか、クラウド実験のような形で一般の人を巻き込んでやるのはどうかと思うんです。

 
大島
私たちがやっている実験と、例えば、You Tuberのやってみた!のような実験とは、明らかにちがいますよね。科学的知見を積み重ねていくのが科学なので、それを放棄して、一般の人に任せるのはどうかと思います。

 

———もちろん、勝手にやってもらうのではなくて、条件付けなどはしてあげますよ。日本全国にバーチャル研究所を作るようなイメージです。そうすることで、もっと多くのアイデアも生まれると思うんです。

 

大島
それなら、可能性はあるかもしれませんね。ただ、「カラスごみ問題」という問題設定は今後、どうしようもないと思います(笑)。もともと、駆除してしまっていいのか?ということも考えました。カラスがいなくなることで、それまでの生態系が壊れてしまうかもしれませんし。

 

———それはそうですね(笑)。現実的なことを言うと、一部の人がごみ出しのルールをしっかり守ればいいわけですよね?だから、問題はカラスじゃなくて人間にあるのかも。

 

大島
そうですね。カラスごみ問題のひとつの結論としては、人間を変えるのが、いちばん良いということかもしれません(笑)。

IMG_7007

  • HOME
  • デザインのチカラとは?
  • CONTACT
  • HOME
  • CONTACT

デザインのチカラとは?

ページトップへ戻る

ページトップへ戻る