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Article 机上

「ゴミをつつく、カラス問題」「USJの待ち時間を楽しむ方法」「パパも書斎がほしい!」など、
「デザインのチカラ」に寄せられた課題に対し、プレゼンターはどのようなアプローチを経て、解決策を導き出していくのか。
専門領域によって異なる、それぞれの視点で思考を巡らせ、考え、検証し、課題の本質を掘り下げて、答えを生み出していく。
ワークショップで展開された教授たちの提案を紹介。

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「カラス識別器」実験を再録!

専門外にも関わらず、インターネットでググりながら情報を集め、「カラス識別器」を試作されたという、情報学研究科特定准教授の大島裕明先生。ワークショップ「デザインのチカラVol.2」で、その識別器の公開実験を行い、大いに盛り上がりました。そこで今回は、当日の盛り上がりを少しでもWEBをご覧いただているみなさまにお伝えするため、試作の制作過程について大島先生のお話を伺いながら、識別器の実験映像もお届けさせていただきます。

 

カラスがいなくなれば、問題解決になる。

「カラスごみ問題」について、「カラスがいなくなれば問題解決になる」という道筋を立て、「カラス識別器」という提案をしてくださった大島先生。

「カラスがごみ袋に近付いて来ると、追い払う。単純ですが、そういった装置があれば、いずれはカラスが来なくなって問題は解決されるはずだと考えました。そのために必要なのは、カラスが来たことを認識すること。そして、追い払う仕掛けでした」

 

 カラスを識別できる、「教師あり学習」とは?

そこで、まず取り組んだのが、“カラスを認識する仕組み”の構築だったという大島先生。そのために用いたのが「教師あり学習」と呼ばれる手法だったそうです。その手法について説明していただきました。

「“教師あり学習”とは、今回の識別器に当てはめて説明すると、“これが、カラスです”という例題を機械に覚えさせて、カラスか否かを機械自身が識別するというものです。もちろん、学習方法は人が教えます」

カラスか否かを識別できるように機械に覚えさせる。そのためには、無数のカラス画像とカラス以外の画像が必要だったといいます。

「最初に、カラス画像と非カラス画像を収集しました。とはいえ、手作業で数千枚のカラス画像を収集するのは大変なので、自動収集をしてくれるプログラムを用いました。実際に、およそ1万1千枚の画像を集めて、機械学習に使えそうなカラス画像755枚、非カラス画像1106枚を分類し、機械に学習をさせたのです」

 

 「カラス識別器」の実験!

識別する仕組みと同時に、制作したのが追い払う仕掛け。こちらは、以前に開催されたワークショップ「デザインのチカラVol.1」にて、機械工学研究科教授の松原厚先生が提案した鷹のアイデアとコラボ。

「カラスが近付くと、鷹が翼を広げて追い払う。そのアイデアを実装しました。ちなみに、鷹のイラストは松原先生がお描きになられたものをスキャンして忠実に形にしています」

また、カラスを認識したときに、目で見てわかるように「カラス発見」という文字が画面に表示される仕組みも併せて制作。そうした過程の末に試作したのが、こちらの「カラス識別器」です。実際に、実験した映像でご覧ください。

 

 識別器の精度を向上させるには?

大島先生いわく、識別の精度はまだまだ向上の余地があるとのこと。そのためには、現状の「カラスorそれ以外」で分類するのではない方法が必要ということに試作途中に気付いたそうです。

「今回の分類問題では、カラスとそれ以外の画像を学習させて、識別する手法を採用しました。しかし、カラスを識別する精度をあげるためには、マルチラベル問題として捉えるべきだったと思っています。それは、“カラスが写っている&猫が写っている”画像や、“猫が写っている&犬が写っている”画像を学習させる方法です。2分類ではなく、複数の要素を含んだ画像で判断させれば、より精度は向上していくと思いますよ」

そして次回は、この試作がカラスを追い払う方法として有効か否かを実際に実験します!その模様は近日公開予定です。お楽しみに。

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