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Article 机上

「ゴミをつつく、カラス問題」「USJの待ち時間を楽しむ方法」「パパも書斎がほしい!」など、
「デザインのチカラ」に寄せられた課題に対し、プレゼンターはどのようなアプローチを経て、解決策を導き出していくのか。
専門領域によって異なる、それぞれの視点で思考を巡らせ、考え、検証し、課題の本質を掘り下げて、答えを生み出していく。
ワークショップで展開された教授たちの提案を紹介。

USJでは、太陽を見てはいけない!

「USJで待ち時間を楽しむ方法」を考えるとき、通常の道筋に従えば、空いている時間帯を狙って待ち時間を少なくしたり、スマホゲームや読書をしながら時間をつぶす・・・といった回答が一般的。では、認知心理学、認知脳科学、遺伝子学の側面からアプローチすると、どんな結論に辿り着くのか?それらを専門領域とする、教育学研究科の野村理朗准教授は、軽妙な語り口と裏をつくロジックを駆使ながら、待ち時間を不快に感じる原因から、それを解消してしまう方法までをクールに語り倒す!そんな解決策を提案した、ワークショップ「デザインのチカラVol.1」でのひとコマを紹介。

 

 

カミュの「異邦人」をヒントに

野村理朗(以下、野村と表記)
「異邦人」という小説をご存じでしょうか?
越前屋俵太(以下、俵太と表記)
カミュですか。
野村
そうですね。ここから問題解決の糸口を見つけてみたいと思います。ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、その小説に、ムルソーなる青年が登場します。彼は、亡くなった母親の葬儀に出て、その帰路の途中に、殺人を犯してしまうわけです。
俵太
なぜ、殺したんだって聞いたら、「太陽がまぶしかったから」って言ったという、有名なセリフですよね。
野村
このムルソーの言葉をヒントに、この問題を送って来られた方が、なぜストレスフルな気持ちになっていくのか読み解いていきます。
俵太
これが、結びつくんですか?まったく、わかりませんね。答えはあるんですか?
野村
答えは必ずあります。ご安心ください。

 

まず、感情とはどこから湧き上がるのかを考える

野村
まず問題を解き明かす準備として、「人の感情とはどこから湧き上がるのか?」について考えてみたいと思います。ご相談の“待ち時間を楽しみたい”ということは、現状を楽しめていない、という意味ですよね?
俵太
そうですね。普通は、「待つ」ことは不快というか、早く終えたい「時間」だと思います。
野村
そういう感情って、どこから来ると思います?
俵太
どういう意味ですか?
野村
例えば、悲しいから泣くのか、泣いたから悲しいのか。
俵太
そら、悲しいから泣くんでしょ?
野村
そうですか?
俵太
ん・・・・・・?悲しいから泣いて、泣いていることに悲しくなって、また泣いてしまう?
野村
おっしゃる通り。
俵太
ということは、行動や行為が先に来て、感情が後から湧いてくることもあるってことですね。
野村
そういうことです。では、今回の問題について、より具体的に考えてみたいと思います。

 

「太陽」は怒りの程度をあげる

野村
行動と感情に関する、とある実験があります。太陽に向かって、AとBの2つのグループに砂浜を歩いてもらい、その後の気分をたずねる実験です。条件のちがいは、Aグループはサングラスをつける。Bグループはなにもつけずに歩いてもらうと。
俵太
サングラスをつける、つけないで、なにか感情にちがいが生まれるわけですか?
野村
そうです。結論から言いますと、どちらのグループも「だれかをぶん殴ってやりたい」という感情が湧いてくるんですね。
俵太
え?マジですか?まるで「太陽にほえろ」みたいですね。ということは七曲署の彼らも太陽がまぶしかったから、犯人をぶん殴ってたっていうことですか!(笑)
野村
そういうことかもしれませんね(笑)。ただ、サングラスをつけていたAグループは、Bグループに比べ、怒りの程度が低かったんです。
俵太
なるほど。要するに、太陽の光にまぶしさを感じなかったAグループは、怒りやイライラをそれほど感じなかったということですよね?
野村
そうです。では、そのメカニズムについてより深くご説明しましょう。

 

問題を解き明かす!ジェームズランゲ説

野村
人の感情は、行動や行為(身体的変化)によって生まれることもあると、ご説明しました。それを、別の角度から説明する実験があります。被験者に、クソ面白くない漫画を読んでどれくらい面白いかを評定されるのですが、その際に、2つの条件をひとつずつ試してもらいます。
俵太
2つの条件とは?
野村
ひとつは、鉛筆やボールペンを前歯で挟みながら読む。一方は、唇の先端でくわえてもらい読んでもらいます。ちょうど、唇をすぼめるような形になると思います。
俵太
その違いで、面白さに差が出るということですか?
野村
そうです。ちなみに、前歯で挟んだときの方が面白く感じるんです。なぜだと思います?
俵太
前歯で挟む・・・・・・。口角がきゅっとあがって、笑顔になりますよね。これが、理由ですか?
野村
その通り。本人が意図せず、前歯で挟むと笑顔になります。一方は、唇をすぼめるので、文句を言っているような不機嫌な表情になっています。この身体的変化のちがいが、面白さにもちがいを与えた訳なんです。
俵太
笑顔で読むと、面白く感じ、不機嫌な表情だとつまらないと。
野村
先ほどの「太陽の実験」に話を置き換えて考えてみましょうか。太陽に向かって歩くと、私たちはどんな表情になります?
俵太
太陽を見ると、まぶしいですから・・・・・・。あっ!眉間にシワを寄せて、しかめっ面になりますね?!
野村
そうなんです!それが、待ち時間を不快に感じてしまう原因のひとつだったんですよ。
俵太
じゃあ、待ち時間を楽しむためには、家族そろって1時間でも2時間でも笑顔で待つと良い?
野村
それもひとつの方法ですが・・・・・・。結論を言いますと、「太陽を見るな」ということです。太陽を見ると、眉間にシワが寄って不快になる。イライラする。だから、待ち時間が楽しくない。ならば、太陽を見なければいいんです。
俵太
なるほど。じゃあ、USJでは太陽を背にして歩くと。
野村
そうですね。もしくは、サングラスをつける。できれば、USJではサングラス着用を義務化するのもいいかもしれませんよ(笑)。

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